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かば会 朝日新聞の取材が

カバ会、いよいよ今週末ですよ〜

NHK「ダーウィンが来た」でのカバの特集につづき、
堂本剛さん(KinKi Kids)のカバーアルバム「カバ」発売、
となにやら漂う、カバ熱。

で、この熱が朝日新聞まで届いた模様で、当日取材が入ることになりました。
記者さんによると、(犬・猫以外の)動物の単独の会とはとても珍しいとのこと。
なんだか誇らしいではありませんか。
(取材拒否の方は前もって言っていただければ対応しますのでご安心を)


さてプレゼン者数も座席数もそろそろ埋まりそうなので、
お申込みはお早めにお願いします。
幻戯書房では、10日(金)18時まで前売り価格(当日¥1500のところ前売¥1000)で承ります。
※幻戯書房 genki@genki-shobou.co.jp


ショップの追加情報

カバグチでお馴染みのNATSUKOさんが、
新作のカバのバッグ、略してカバッグも出品してくださることに〜

わたくしも未見ですが、すごくステキとの噂です。お楽しみに。


そして足立区「カバのパン」さんがこの会のためだけに作ってくれるカバのバンズ、カバンズ
黙っていられずに告白してしまいますが、
カルカルさんが、それをカバ・バーガー略してカバーガーにしてくれます!

楽しいカバ尽くしの会になりそうです。
では12日(日)、お台場でお目にかかります。A子
メモスタンド.jpg


パリ土産のメモスタンド。背にはメモ用紙、 
そして口にくわえているのは、 
スリランカだったかカトマンズだったか、 
あちらの方のハンコです。 
ヒポミさんに奉納予定ですが、彫りが甘く、 
鮮明に押せることはめったにありません。 

かば会 続報

かば会の案内が読売新聞に出ました。

「かばの本」も大きく書評してくれた読売新聞さん、ありがとう!

カバ好きの記者さんがいるに違いありません。

 

会までひと月をきり、内容も少しずつ見えて来ましたよ〜

席に限りがあるので、お申込みはお早めにどうぞ。

 

 

PW1302生キャラメル.jpg

●カバヤ「生キャラメル」

 

な、なんと来場者全員プレゼント

カバヤさんが提供してくれることになりました。さすがカバの老舗、太っ腹です。

国産の生クリーム、練乳、蜂蜜を贅沢に使用した、なめらかな口どけとコク深い味わいの生キャラメル。」

レトロ・デザインに一新したこのキャラメル、なかなか東京ではめぐり逢えないだけに、嬉しさもひとしおですね。

 

 

かばのパン.jpg

●かばのパン

足立区の椛島(かばしま)さんが営む〈かばのパン〉。

当日は、おなじみ「カバクッキー」「カバのクリームパン」はもちろん、

この日のために特製パンをご用意してくれることに!

かばのバンズ、略してカバンズ。バンズということは……

会はちょうどお昼時。特別メニューの登場です。




●かばshop

s&nd

http://progetto-ltd.net/collection/

すでにお伝えしたように、かばのワンポイントが愛らしいお洋服のブランドです。

東京ではなかなか買えませんよー


マデリーフ&カニールス

http://www.madelief.jp

南アフリカのハンドメイド アート&クラフトの専門店。

野生あふれるアフリカ産のカバたち。これぞプリミティヴ。「かばの本」に登場したあの子も?!


プレイ オン ワーズ

http://playonwords.jimdo.com/textiles-テヌグイ/

ヒポミさんとのコラボで生まれた手ぬぐい。

かば祭でも大人気でした。染めがよく、使用感に絶大な支持を得て再登場。


和風アニマル切り絵 ぽれぽれ

http://animalkirie.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1454192&csid=5

カバの切り絵のポストカード。その美しさに、送られた人もきっとカバ好きに。

ヒポ教布教に一役買うかも〜



……などを予定しています。

かばトークの後は、かばショップをめぐって楽しんで下さいね。



●トークタイム

=プレゼンにも、多数の手が挙がっています。

誰もいなかったらどうしようと思ったのは杞憂でした。ホ。

もちろん当日の様子を見て、喋りたくなったら参加、でもOKです(ただし時間次第)。

カバの数だけエピソードがあるはず。時間の許すかぎり、語り合いましょう!



以下は、当日の注意事項です。


〈プレゼンタイムについて〉

一人5分程度の見込みです。

大スクリーンへの映写について、以下、ご留意ください。

1) かばグッズの実物は、カメラで映写します。

 

2) 画像・映像のデータについて

 

  • 基本はWindowsD-subで繋ぐ形となります。 
  • 事前に幻戯書房※宛に送信していただくと、進行がスムーズになって助かります。(Macやアイパッドの端子もあるのですが、トラブルを防ぐためにも)
  • 送信の際、5M以上の大きいファイルは、圧縮するか、firestorageなど大容量メール代行サービスを利用してください。
  • データは、jpgpdfpptなど特殊なソフトでなければ問題ありません。
  • ソフトに心配がある場合はPCをご持参下さい。

   ※幻戯書房 genki@genki-shobou.co.jp

 

 

〈出店のご案内〉

1) 直接出店 この会は営利目的ではなく、出店料などはかかりません(会場費1000円だけご負担下さい)

   かば限定のフリマのようなものとお考えいただき、ご自由に値付け・販売をしてください。

 

2) 販売請負 商品をお預かりして主催側が販売を請け負い、後日精算。

  • 商品の値段がはっきりわかるようにしてください。
  • 返品送料など、値付けの一割程度の実費をご負担ください。

  

※ プレゼン、出店、いずれも、あらかじめ会場に送る際は、5月11日(土)必着で、下記宛に。

〒135-0064 東京都江東区青海1-3-11 ゼップ東京2階

5/12「かば会」小原 宛   電話03(3599)2390

さらに、品名欄に「かば会」と明記のこと


かば会 開催! 

みなさま、お久しぶりです、A子です。

楽しいお知らせです。

昨年11月、ヒポミさん主催の〈かば祭り〉には、かば好きが全国から駆けつけました。
その際、自慢のカバを持参したり、独特のエピソードを語ってくれたり……。
みなさんのカバへの思い、もっと知りたいと思いました。

そ・こ・で  開催します!

ヒポミ著『かばの本』刊行記念
かば会 hippo meeting

かば好きさん、いらっしゃい~

かばグッズ・かばフード・かばトーク!

かば尽くしの交流会

ぜひ、大好きなカバをご持参ください!


 

日 時 5月12日(日)開場12:00 開演12:30(~15:00

  第一部:プレゼン 第二部:フリータイム

会 場 東京カルチャーカルチャー(略してカルカルhttp://tcc.nifty.com/

    お台場ZEPP東京2F。飲食もできます。

入場料:前売券¥1000/当日券¥1500(飲食代別)※

 

第一部のプレゼン・タイムは、カバ自慢大会。

で、カバ自慢をしてくれる方、大募集!

ヒポミさんも持っていないであろうカバ、本物のカバ写真・映像、

かば好きになったきっかけの逸話などなど、なんでもOKです。

自慢のカバがスクリーンに大写しにされますよ~

一人で喋れなくても大丈夫。不肖A子がインタビュアーになります。

ぜひご一考を!

 

第二部のフリータイムでは、かばグッズも販売します。

目玉の第一弾は、かばのロゴマークがカバ好きに人気のブランド s&nd

なんと大阪から上陸です!

東京で入手できるレアなチャンス、お見逃しなく!


出店・出品をご希望の方も、お気軽にご連絡ください。

追って情報を追加していきますのでお楽しみに!

 

 

 

かば会でこんなことをしたい、というご要望があれば、それもお知らせください。

みんなで楽しい会にしましょう!

 

カバ好きも、カバ好きの会を覗いてみたい人も、ふるってご参加ください!!!!!


 

※前売券

(1)イープラスにて4/12(金)am10:00より発売開始

   http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_130402204213_1.htm

(2)幻戯書房に直接お申込み

tel 03-5283-3934/fax 03-5283-3935

メールは、件名を「カバ会予約」として、お名前・ご住所・ご連絡先を明記の上、

genki@genki-shobou.co.jp

まで送信してください。

当日、前売価格で精算いたします。

 

※かば自慢/かばグッズ出店も、上記の幻戯書房まで。 

 

プラハのカバ.jpg

お正月にチェコのプラハに行って来ました。

写真はプラハで捕獲したカバ。
高級赤ちゃんショップにいました。手作りです。

左はヒポミさんに奉納(チェコらしいと思い)、
右は寝室に。

人生で初めての、ぬいぐるみとの共寝です。


番外 かば祭りレポート2

かば祭り
閉館後、夜の風景。

アップするのを完全に忘れてました。
かば祭り写真.jpg

番外 かば祭りレポート


本当は祭りが終わってからと思ってましたが、
かば祭り初体験の興奮さめやらず、初日のご報告を。

初日の今日11月22日(木)、平日にもかかわらず長蛇の列ができるほどの大・盛・況!
オープン時間を繰り上げて対応しなければならないほどでした。

グッズ売り場もおおわらわ。
お守り、エコバック、カレンダーなどヒポミさん製のもの、
市販品のかばクッキーシール、カード、一筆箋、手ぬぐい、靴下
作家さんのかばアクセサリーやカバ口、ブランドもののカバ柄布でできたブックカバー、クッションカバー、高級ルーペなどなど、
安いものから高いものまで、飛ぶように売れていきます。
(早くも売り切れたものあり、落ち着いてから追加したものもあり!)

そんな調子で、始まって数時間は、物販に追われて汗だくでした。
やっと落ち着いた頃、しみじみ感じるのです。
ここ、なんとステキな空間なのだろう、と。

案内には「地下」とあるけれど、レンガ敷きの広い階段のスロープを下りていく途中から、そこは異世界。
ちょっとしたおとぎの国というか、いや、相当におしゃれな森の中というか。
ガラス張りの室内にたっぷり自然光が注いでいます。
大きな木の扉を開けてギャラリーに足を踏み入れると、漆喰の壁が光を吸ってぬくもっている。
ヨーロッパの部屋、アフリカの部屋、そして日本の部屋。ひとつひとつの部屋が、あたたかい。
ああ、こんなところにもカバが……

さすがに私は本の中のカバ全点を覚えてます。
でも写真のみでのお付き合いだったので、「こいつはこんなに小ちゃかったんだ」、逆に「こんなに大きかったのか!」、「色が全然ちがうー」「あなたは足がついてたのね」と、すべてのカバに感慨が。写真映りのいいカバ、実物のほうがいいカバ。それにしてもみんな素敵に飾られてる……。うーん、マンダム。

そこでA子おすすめコース
1)最初に本の中をじっくり見る
2)本を閉じてギャラリーを、外も中も、ひとまわりする
3)本を手に、実物と見比べる

居心地のいい場所なので、ぜひゆったり試してみてください。
それほど多幸感に溢れた場所ですから☆


ところで、猫好き・犬好きの人の親(?)バカぶりに苦笑した経験ってありませんか? 
カバ好きのすてきなところは、溺愛のかげんが絶妙なところ。
皆さんそれなりに熱愛してるのでしょうが、カバがその愛を大きく包み込むのでしょう、
表面に暴走的な(過剰な)愛として現れることがないのです。

だから、ヒポミさんによるサイン待ちの列もできましたが、
余裕の貫禄でお話しされていてカッコ良かったし、
かばトーク、ぜんぶ聞いていたかったなあと思うのです。

カバだけでなく、カバを愛する老若男女、それぞれの方に物語があって、それをこんなステキな空間でうかがう。
このうえなく贅沢な、いい時間でした。
このあと3日もニコニコ顔で満たされた中にいられる私、幸せだな〜




かば花.JPG

実はオープンの数時間前まで飲んでいた私、
終わるまで自らの二日酔いに気づきませんでした。
ギャラリー・アブ・オゥヴォ。
下北沢の駅から5分とは思えないほど、
喧騒を忘れさせてくれる場所なのは間違いありませんが、
いい酵素も出てるに違いありません。

写真はBearというお花屋さんにお願いした祝花。
カバが20cmほどなので、けっこう大きいです。
「こんなステキなお花、どこでやってくれるの?」と、
みんなに訊かれました〜。

ギャラリー階段下の室外もいい空間になってます。


21. かば祭り迫る!


本が発売になって数日、嬉しい感想が届いています。

・どのカバもいい!
・カバもさることながらヒポミさんの魅力がびんびん伝わってくる!
・ホロリときた……!

などなど、とにかく皆さん、ほっこりあたたまってくれているようです〜。

そうそう、カバーの装画は印刷ではなく箔(はく)を押してますので、ぜひ触って凸凹を確かめてくださいね。


そしていよいよ〈かば祭り〉が22日(木)に迫りました。

11月22日(木)〜27日(火) 12.00-19.00pm
会場:Gallery AB-OVO(ギャラリー・アブ・オウヴォ)
世田谷区北沢3-21-4 B1(下北沢駅から徒歩5分)

本の中のカバたちが勢ぞろいです。
写真の実物、私も一部見せてもらいましたが、ぜんぜんイメージが違ったりして興奮しますよ〜!
一回きりのこの機会、ぜひお見逃しなく。

さらにグッズも充実していて、p72-p85の「1年(カレンダー)」と同じ写真で作られた、2013年の卓上カレンダーはお宝ではないでしょうか。

また会場で本をお買い上げ頂くと、お買上特典で、いろいろオマケもつきます。
(すでに買ってしまったという方、本を持参してください。要相談)

そしてオマケの末席には、A子手製のミニ本が…。
このブログをまとめた煙草サイズの80ページです。
本文をDTPソフトで組むのはいつもやっていること。
しかし! 折丁(8ページずつ、16ページを両面印刷)のための面付けに頭を悩まし、切って折って製本までがまた一苦労。……というか、本当のことをいうと、まだ切って折ってのところまでしか出来上がってないのですけれども、ふだんは印刷所まかせの部分をマニファクチャー、日々内職してます。
こんな苦労も、カバのためと思えば楽しいから不思議。

というわけで、そんなに器用でもない私の、カッターとボンドによる完全手作りなため、50部が限度。もらってくれるだけで有り難いという実にお粗末なものですが、絶対にほしいという方はコメント欄から「ミニ本予約」してください。※お買上特典です。ミニ本のみの販売はいたしません。

わたくしA子も22(木)〜25(日)は、ギャラリーに張り付く予定です。

では、かば祭りでお会いしましょう!



photo.jpg


ざっくりした試作品。
豆本というには大きい、マグカップサイズ。

まだ見ぬオマケやグッズもたくさん出るとか。
手ぬぐい好きとしては手ぬぐいもマスト・バイ!

20. カバでつながる


見本ができました! A4の半分のサイズで、ヨコ長。
かば、カバ、河馬、のカバ尽くし!!! あらためて、圧巻です!!!!!


かばの本

かばの本

  • 文・写真 ヒポミ
  • 出版社 幻戯書房
  • 発売日 2012/11/09
  • 定価 1900円+税
  • (本文オールカラー120ページ)

カバたちがどうやって登場するか、ざっと構成を紹介しましょう。

ヨーロッパ エレガンス
磁器、クリスタル、置物、名作、博物画、おまけのオモチャ

アフリカ ルーツ
古代エジプト、コイン、切手、木製の置物、旅するカバ

日 本 ヴァラエティ
アーティストの作品、広告塔・オモチャ、イソジン、カバヤ、
カバヤ文庫(文=池内紀)、上野動物園の歴史(文=井内岳志)


カバの一生 乙女に見立てたカバの生涯を、アルバム風に

カバで一年 12ヶ月カレンダー

カバと毎日 暮らしの中のカバ
電気製品、バスグッズ、茶器、アクセサリー、キーホルダー、
ブローチ、ボタン、指貫、文房具、音楽、工作、モビール、絵本リスト


Hippopotame(フランス語でカバ)
「神々しい不在」(文=堀江敏幸)、フランスかば協会

年 表 かばコレクションとかば祭りの記録
かば豆知識 (文=井内岳志)



素材も大きさも出身地も年代もさまざまな約400点のカバ。
そのそれぞれに、作り手がいて、生まれた背景があります。
一つひとつに物語があると思うと、カバでつながることの不思議を感じずにはいられません。

この紐帯がなぜ、カバだったのか。

ぜひ、すべての文章とともにカバに浸ってください(といっても一時間くらいのことですから)。
その神秘に触れることになるはずです。

ああ、早く見てもらいたいー!


パリ土産の木製しおり.jpg

完成記念に、世界各地から3つを大放出

ウィリアム付箋.JPG

[<]エジプト出土の青いカバのメモパッド
(米メトロポリタン美術館)

フランスの木製しおり[>]
クリップ.jpg日本のクリップ

19. ザ・ブックデザイナー


雑談中のことです。

「今度ヴィジュアルがメインの、かばグッズの本を作るんです。
 若い女性デザイナーを探そうかと思っていて」

呟いた相手は、緒方修一さん。
新潮社装幀室出身で、装幀コンクールの審査員も務める大人気の装丁家です。
幻戯書房は、美しい本を作るという故・辺見のこだわりにより、
多くの本を緒方さんにお願いしてきました。

「俺、やるよ」

え?! にわかには信じられず、「何百点も写真の入る、手間のかかるものですよ」と念を押しても、
雑誌を一冊作ると思えばいいでしょ」と軽〜くおっしゃいます。

「嬉しい……緒方さんがカバに見えてきました!」

私のヒポ教への急激な傾斜ぶりをよく知るM嬢がすかさず「これ、褒め言葉ですから」と注を入れます。
「わかりにくい褒め言葉だねー」と呆れる緒方さんですが、
私の目にはもはや、どうしたってカバに映るのです。

緒方さんにお願いできて本当によかったのは、緒方さんが偉いからではありません。
というより、偉くなるには理由があって、そこが頼りになるといえばいいでしょうか。


ヒポミさんは、5000点以上のコレクションの中から章立てに合ったカバを選択し、
それを並べてみてはページの構成を練り直す、ということを繰り返してくれました。
「かば祭り」で慣れっことはいえ、紙の上での見え方はまた違います。
本には、400点近いカバが登場するのですから、とんでもなく大変な作業だったはずです。

ちなみに、あらかじめ個体ごとのナンバーがついていて、ヒポミさんがそのリストを作ってくれたことは、厖大な点数を扱う作業の上でも大助かりでした。これがまた、「hp00000」という形なものだから、五桁のナンバーを見てるだけでも愛らしいし、ナンバーが並んでいれば「同時に捕獲したのね」などと想像も膨らみます。写真+来歴+ナンバーの複合情報で、実にナラティブな本になりました。


で、大体の構成が固まると、緒方さんに見てもらいます。
我々(ヒポミ&A子)はカバの魅力を「ユーモアとエレガンスが同居する奇跡」に定めたのですが、
このコンセプトに沿った取捨選択に苦心するあまり、
本としての複合的な見せ方にまで考えが及ばないことがありました。

そんなとき、足りないものを客観的に指摘し、補ってくれたのが、
緒方修一というブックデザイナーなのです。


緒方さんともやりとりを何度も繰り返し、最後までバタバタしながら、今やっと、印刷に回っています。
目標の10月中を少しオーバーしてしまいましたが、11月10日には全国に届けられる予定です!

それぞれのページがストーリーを持って展開し、カバがいっそう輝いた、と自負しております。


天王寺動物園ピン.jpg




大阪の天王寺動物園のピン、なんとおしゃれ!
これじゃあもったいなくて台座の紙から外せません。

このカバを捕獲したリブロ池袋といえば、
15年ほど前までとにかくお世話になった本屋さん。
月日はめぐります。










18. カバという福音


夜中に酔って個人タクシーに乗った時に流れている番組という認識だった「ラジオ深夜便」を、愛聴するようになって数年。民放のテレビをうるさく感じるようになってNHK以外はあまり見なくなり、行き着いた先がラジオという、10代20代には思いもしなかった落ち着きを、年齢というのは獲得するものですね。

私には、今が、カバ適齢期だったのかもしれません。

さて少し前、「ラジオ深夜便」で島崎藤村作詞の「椰子の実」が流れました。
「 ♪ 名も知らぬ〜遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ」のアレです。
夜も深い、というより朝が近いその時間。
衝撃を受けるくらいに遅ーいテンポでした。
小学校で歌った時点でゆったりした曲でしたが、
昔なつかしのレコードの回転数、45回転のところを33回転でかけてしまったよう。
私の肺では「名も知らぬ」のワンフレーズさえ、きっと息継ぎなしにはもちません。

遅すぎるという違和感が薄れると、やがて快感に変わります。

「ああ、カバ時間…」


こうやって何かにつけてカバに結びつけるわりに、カバ歴の浅さもすぐ露呈します。
つまりこのブログが沈黙した2週間、
入稿作業に追われては焦る私にたいし、
ヒポミさんがカバの視座でユルめてくれる、
これを何度も繰り返してしまったのです。

カバに慣れ親しみ、かばフィルターでいろんなことを見られるようになったとき、
ヒポミさんのような大きな優しさを手に入れることができるでしょうか?!

ヒポミさんの場合、もともとの素質がカバに向かわせたのだと思うものの、
私にもいつか、カバの恵みがあらんことを! アーメン。




ミニミニかば.jpgミニかば.jpg電話の上で一年半も仕事を見守ってくれてるミニかば
体調3cm(右が全長)

おかばさまでもうすぐ色校です。

東急ハンズからやってきた時は2体でした。
汚いデスクの上で1頭が行方不明です。
社内にいることは確実なんだけどなー






17. 池内 紀さんのカバ


カバヤ。
ひとたびカバ界に足を踏み入れた人間は、
日本カバ史に刻まれたその足跡を追うことになります。

100年前の初来日当時、今のパンダ並の人気を博したというカバ。
その後パンダやコアラが登場するまでの長いあいだ、
動物園の三大スターはゾウ・カバ・キリンでした

戦後ベビーブーム世代の親子連れが動物園に殺到した時代も然りです。
GHQによる占領が終わろうという頃から、動物園に動物たちが戻ってきていました。

ちょうどその時期、カバヤは宣伝隊を組織します。
トヨタ車を改造した〈カバ車〉を12台作って(おもに西日本を)巡回したとか。
行く先々での子供たちの喜びようが目に浮かびますね。

そしてヒポミさんが復刻カバ車などのコレクションとともに本の中で詳述してますが、
忘れてはならない最大の功績が、カバヤ文庫なのです。

敗戦後の貧しい時代、カバヤは子供たちに大人気だったキャラメルの景品を、
心憎いことに、名作文庫にしました。

かつての少年少女にとってそれがどんなに大きい存在だったか、
なんと、池内 紀さんが書いてくれました!

直筆原稿でそのカバヤ文庫物語を初めて読んだとき、涙ながらに思いました。

「今の池内さんがあるのはカバ(ヤ文庫)のおかげなのだな……」

大尊敬する方にむかってこんなことを言うのも失礼なようですが、
そう言っても許してもらえそうな大切な思い出を、分けていただきました。

二回目に読むときには、池内さんが「カバさん」と敬称で呼ぶ理由がわかるはずです。


池内 紀さんは故・辺見じゅんが、ほとんど愛するように慕っていた方。
私は心の中で〈カバのプリンス〉と呼んでいます。
威厳あるやさしさ、山男らしい逞しい胸板。
この称号がふさわしい人物は、ちょっとやそっとじゃ見つかりません。



17「日本カバ物語」カバ車.jpg
カバヤに言及したページ(写真はカバ車)

戦時中、動物園のカバはほとんどが、
餓死あるいは処分された。
カバヤのホームページによれば、
実物の見本がない中でのカバ車づくりだった
そのわりにヒゲの毛穴もリアルでお見事!

いろんな写真が残っているけれど、
手作りなだけに顔がぜんぶ違う。
大量生産時代を生きる者には、
格別にありがたく思えますね。


16. 二大企業


習慣というのはおそろしいもので、そこが誰もいない家であろうと、
帰り着いた時には「ただいま〜」と言ってしまうものです。

恥というのはさらに根深いもので、それが独り言であることの照れ隠しに、
「ただいま…… ♪ のあとは、ガラガラチンチン、ガラガラ、イソチンチン ♪ 」
と歌ってしまうものです。

不思議なことに、独り言とはちがって独り歌(=鼻歌)には恥ずかしさが伴いません。
あ、また歌っちゃったと苦笑しておしまい。毎日の、ただいまの儀式です。

もちろん正しくはチンチンではなく「ジンジン」。
キャラクターのかばくんとともに印象深いこの歌は、
コマソン(コマーシャルソング)界の大作詞家・伊藤アキラ先生による、
イソジンうがい薬(明治製菓)のCMソングであります。

やはり伊藤大先生による石丸電気やかっぱえびせん(カルビー)や青雲と同様、
生まれた時から流れていたとしか思えないほどメロディが脳内に浸透しているわけですが、
調べてみればイソジンの発売は1983年(私の生まれは1973年)。
発売と同時にCMを流し始めたとして、10歳からの刷り込みでここまで血肉化するものでしょうか。

そう、潜在的カバ派だった証拠がここにも出てきました。
CMソングがズバ抜けて秀逸だったことは疑いようもありませんが、
かばくんとの取り合わせの妙もあったに違いないのです。
もし、うがい担当のキャラがキリンだったら……
イソジンが今日まで存続できたかどうか、誰にも断言できないでしょう。

この歌を口ずさんだ経験のあるあなたはカバ度が高いといえます。
いつでもカバ界へ、どうぞ。

それにしてもこのイソジンかばくん、ヒポミさんの元にも当然いろんなヴァージョンが集まってますが、
さすが日本で最も有名なカバの一つだけあって、ユーモアと品性のブレンドが見事です。



そして二大企業のもう一翼を担うのが、岡山のお菓子メーカー、その名もカバヤ

実はカバヤのこと、ジューCがおぼろげに記憶の片隅にある程度で、よく知りませんでした。
私より少し上の世代にはどうやらおなじみで、
また同世代でも箱根の向こうでの認知度は高いようです。(つづく)






イソジン展開図.jpgイソジン体調8cm.jpeg
ヒポミさんからもらった、
イソジンかばくんのペーパークラフト 
(展開図はA4、完成時の体長8cm)

子供の頃、弟の分も奪ってやってしまうほど、
「学習」や「科学」のおまけ工作が大好きだったA子。
しかしこれは難易度が高かった……。
小さいヒダを寄せて寄せて、寄せて寄せて、やっと立体に。

苦労の甲斐あって、下から見上げる姿は愛らしかったなあ!
(翌日、ノリが剝離してしまったので過去形です)




15. 上野動物園ふたたび


20年ぶりの訪問から二週間も経たない頃、また上野動物園に出掛けました。

本にはヒポミさんのコレクションからは独立した読み物のページが入ります。
ウンチクなど博物学的分野はプロの力を借りようということで、
教育普及課の主任学芸員、井内岳志さんに執筆のお願いに行ったのです。

この日、園は地震の影響による休園中。裏口から入れてもらいます。
動物の世話は年中無休ですから、多くの人が作業着で働いていました。

ザ・文系の我々にとって理系の人というのはめったに会う機会のない、いわば珍人種です。
園内の事務所で対面した井内さんの理系キャラに、私の目はクギづけになりました。
しゃべってる間はニコニコ、で、話を終えた途端、スイッチを切ったように無表情になるのです。
小一時間も機械仕掛けの人形のような話芸を堪能しているうち、あやうく惚れそうになります。
なんとか踏みとどまって、ウンチクの他、上野動物園のカバ史についても書いてもらうことにしました。

打ち合わせの後、井内さんが園内を案内してくれます。(解説付き!)
貸し切りです。天皇家でもない限りあり得ない、一生自慢のタネにできる稀有な体験です。
……ちょうどこのころ、本来なら来日したてのパンダが公開されているはずでした。


さて動物園といえば、子供たち。

ヒポミショック以前のわたくし同様、たいていの人はカバと関係なく日々を過ごしているので、
こちらが「カバ」と口にした時、不意を突かれたような顔になります。
一方、子供たちが大人のようにポカンとすることはありません。
「ああ、カバね」と、万端の受け入れ態勢が整っています。

というのも、赤ちゃんが浴びる名詞シャワーは、そのほとんどが果物と色と動物。
小さければ小さいほど、脳みその中で動物が占める割合は大きいことになります。
だからカバなんて、子供らにとってはほとんど隣のおじさんみたいなものなのです。
その証拠に、小さい子はヴィヴィッドな原色が好きというけれど、
「カバって色が地味でつまんなーい」などと不平を並べる幼児は皆無です。

ちなみに小学生以下の子どもは必ず好きな色を訊いてくるので、
子供と話しなれていない人は、万一に備えて答えを用意しておいたほうがよいでしょう。
あるいは好きな動物を訊かれたら即座に「カバ」と答えて、子供たちの反応を確かめてみましょう。

この好き嫌いの構図、子供ならではの単純な話法のようでいて、大人の会話も大差ありません。
仕事がらみで言えば、好きな作家・映画・音楽などは年に何度かは必ず話題になりますからね。

ところで子供たちが言葉を獲得する過程というのは実に愉快。
「上野動物園に行ってきたんだ〜」と自慢したつもりが、
「ふーん。下の動物園は?」
なんてビックリ発言が返ってくるんですから。


マンスリーどうぶつえん.jpg

上野動物園発行の「マンスリーどうぶつえん」

2011年3月号は来日100年を記念したカバ特集で、
右の見開きは「上野のカバ アーカイブ」のページ

居並ぶ歴代のカバを見るにつけ、
個体としてのフォトジェニックぶりに、
改めて感動させられます。




14. 堀江さんの河馬


「カバ、好きだったかも」と記憶を塗り替える前の私には、
カバといえば、堀江敏幸さんでした。

作品集『おぱらばん』(1998年)を読んだ25歳の頃、作者と同時代に生まれた幸せを思い、
この人の本はぜんぶ読むんだと心に決めて、以来、25歳の誓いをクリアしています。

堀江さんがカバにひとかたならぬ愛を寄せているのは、読者ならよく知ること。
 
「留守番電話の詩人」(『おぱらばん』所収)と「裏声で歌え、河馬よ」(『回送電車』)は
ズバリかばをめぐる話ですし、「キリンの首に櫛を当てる」(『バン・マリーへの手紙』)は
キリンが主役ながら、外国でも動物園に行くようになって、という流れで以下に続きます。
 
(…)どこへいっても、私の目は、子ども時代とおなじように、河馬とキリンを探していたのである。
 河馬については、(…)少々学術的な一文を草したことがあるし、その河馬にちなんだ古い絵はがきを蒐集していたこともある。
 

堀江さんはいつでもつねに「河馬」と神々しく漢字を用います〔*註〕
麒麟とは記されないキリンを憐憫(れんびん)の目で見るのは、
カバ目線の優越感、あるいはカバへのひいき目というものでしょうか。


ただ、いくら堀江さんが愛するからといって、
かつての私がカバまで好きになることはありませんでした。

ああ、浅はかだった若い自分に教えてやりたい。 
堀江さんを読むときの脳波をとれば、カバ時間と同じ波長が現れるということを。
 
カバ時間、お忘れですか? それは鏡面のような心が訪れる奇跡の時。(5.

個人差はあるでしょうが、私の場合、〈堀江敏幸時間〉=〈カバ時間〉なのです。
この頃になってやっとそれに気づきました。

でも私が潜在的カバ派であったことは、あながち嘘とも言えません。
だって、堀江さんがキリンも好きだったなんて、まるで覚えてなかったし……。
 
 
  
「かばの本」に、堀江敏幸さんの寄稿が実現しました!
私の感涙の程を想像してほしいものです。

ヒポミさんとはまたちがった河馬への深い思いを秘蔵の絵はがきとともに味わうとき、
あなたにも〈河馬時間〉が訪れるかもしれませんよ〜。お楽しみに!
 
 
ところで、中ほどの引用文中の下線部、
《古い絵はがき》のことは「留守番電話の詩人」に書かれています。
じゃあ《少々学術的な一文》とは?
 
じつはこの《一文》のおかげで、辺見じゅんは「河馬の叡智」を歌うことになりました(3.)。
秘密を明かすのは、まずはこれくらいにしておきましょう。


*〔表記について〕 日本語には「かば」「カバ」「河馬」と三通りの選択肢があります。ヒポミさんが最もしっくりくるのは「かば」だといいます。ただし平仮名が並ぶと目立ちにくいという難点があり。よって本でも前後の文脈によって平仮名と片仮名を使い分けることにしました。もっとも、本の中の堀江さんの文章は、もちろん「河馬」一色です!


カードスタンド2.jpg
カードスタンド1.jpg




カバのカードスタンド 

神保町すずらん通りの文房堂には、たまにカバがいる。
毎度「カバはいませんか」と訊ねるA子のために、
もっと仕入れてくれないかな。
「本は装いです」のしおりは、
三省堂本店のレジ横にあった、紙の専門社〈竹尾〉製。
いえいえ、中味も大事です。

13. road to かば祭り(その二)


本の成り立ちにも触れてないのに、かば祭りの宣伝かよ、と前回思われた向きに言い訳です。

じつは自分でも、おかしいなと思っていました。
かば祭りの流れで持っていきたかった本来の思惑(おもわく)をすっかり失念してたのです。
ご主人のヒポオさん(仮名)のお顔が浮かんで、つい気をとられてしまいました。
hippo は hippo でも海馬の働きが弱いようで……。

さて、かば祭りという楽しげな響きに隠れていますが、
その実質は〈ヒポミのかばコレクション展〉。つまり展覧会です。
さすがそれを10回も重ねているだけあって、ヒポミさんが最も心を砕くのは、
カバたちをどう見せたらお客さんが喜んでくれるか、だといいます。

コレクションの数は2011年3月時点で5000点超。

 5000、、、

音楽マニアのCD5000枚とはワケが違います。
CDショップで買って、家の棚にびっしりすっきりー、なんてことはないのですから。

かばグッズ5000点がどのくらい大変な数かというと、
銀行で五千円札を全部1円玉にくずしてもらったとします。
その一つひとつが、大小とりまぜた別の姿のカバになっているとしたら。
……想像を拒否するものがありますね。

しかも、前にもちょっと触れましたが、
カバというのは動物キャラの中でのヒエラルキーが下層の部類、としか思えないほど、
そうしょっちゅうはめぐりあえません。そのなかにあっての、1円玉5000個です。

こぼれ話〕プレゼント魔だった生前の辺見のお遣いで、ネクタイを求めに伊勢丹men's館へ。そこで、私がこれまで見つけた全15点のカバのうちの一つに出逢いました。フェラガモ! 黄緑の地の色も柄も、奇抜といえば奇抜です。自腹ならば買いません。自分の男には買いません。しかし贈る先とは私、面識がないのであります。つまりもらう方のキャラに頓着する必要がない。で、即決。そして本心かどうかは知ったこっちゃありませんが、とっても喜んでくれたとのこと。贈った辺見、お遣いの私、もらった謎の人。みんなが満足、大団円なのでありました。

ヒポミさんが凄いのは、まず、そのすべてをナンバリングしてデータベース化していること。
私にも最初、データ上でおおよそのコレクション構成を示してくれました。
なじみ深い分野で言えば、図書館の司書の手腕でしょうか。
それらを、いわゆる物(ブツ)撮りのみならず、カバが映える写真にしてサイトにアップしているのです。

さらに凄いのが、当然5000点もあればヒポミさんの思い入れにも強弱は生まれるわけですが、
展示の際にはそういった私情はいっさい挟まないということ。
かば祭りはコレクションの披露の場ではなく、お客に求められているものを提供する機会だというのです。
これぞ祭りのプロ。

どんな本を作ろうかと相談しているとき、ヒポミさんがいみじくも言いました。
「かば祭りを開く過程と似ていますね」
そうなんです。ヒポミさん、本づくりは初めてでも、ターゲットを想定し、
キャパと動線を考慮しながら内容を固めていく作業は、お手の物だったのです。
打ち合わせのあと、ヒポミさんからメールをもらいました。

サイトやかば祭りを見て楽しんでくださるのと同じように、
思わず笑っちゃうような、知的で、エレガントで、ユーモアにあふれている本、
それがヒポミに期待されるカバの本ではないだろうかと考えました。


それまでコレクターというと、自己満足を追求している人、ってな印象がありました。
しかし、このヒポミさんの思いは、反対に、なんと客観的で、利他的であることでしょう。

思うに、趣味が高じてコレクションとなり、その充実の度が高まった時、
人は、なんらかの使命を帯びるのではないでしょうか。
たとえば本格的なコレクターがやがて美術館をもつのは、
死、という人間の運命に対する「責任」が芽生えるためだと思われます。

これは英国に言うノーブリス・オブリージュ!
面倒なので説明しませんが、持てる者の宿命です。

前回、到達しなかった結論はここです。
かばの本は、よって、ヒポミさんの献身による、紙上かば祭りとなるのです。

本がふつうのかば祭りと違うとすれば、
二次元での展示になる分、テキストが補足するという点。
見て楽しい、読んで楽しいそれぞれのカバの来歴やウンチクはもちろん、
全点にコレクションNo.を付すので、コレクションの経過を想像するのも楽しいですよ〜

また期間限定の展覧会とは違って、いつでもどこでも、本を開けばカバ時間。

さらに! 人が死んでも本は残ります。
もしかしたらまだ見ぬ孫、ひ孫もカバと出逢ってくれるかもしれませんね。いい仕事だ。



13.キンダーサプライズ.jpg


ヒポミさんにもらったドイツの卵形チョコ 
……の中の黄色いカプセルの中の、カバ 

クリスマスはおろか、バレンタインデーやハロウィンなど、
なぜ日本で?とやや呆れ顔にもなる行事が根付いてしまうこの国にも、
キリスト教圏ではクリスマスに次ぐイヴェントであるイースターは、
まだ影が薄いですね。とにかく卵が溢れる期間です。

このチョコはシーズン限定ではないようですが、
おまけのカバはヴァリエーションがいっぱいある人気シリーズ。
ビックリマンチョコと同じ運命でも、致し方なし!

12. road to かば祭り


ヒポミさんは、四年に一回のオリンピックイヤーに「かば祭り」を開催しています。
そしてロンドン五輪の今年、〈かば祭り2012〉は「かばの本」刊行記念!


11月22日(木)〜27日(火) 12.00-19.00pm
会場:Gallery AB-OVO(ギャラリー・アブ・オウヴォ)
世田谷区北沢3-21-4 B1(下北沢駅から徒歩5分)

10月下旬の刊行を予告しておきながら着地点が未だ見えていない綱渡り進行ですが、
本に掲載されるカバの実物が見られるこの機会、お見逃しなく!

さて、ヒポミさんとカバグッズの出会いは1980年。
かつてはヒポミさんもカバをたくさん飾っていたそうです。

転機はコレクションが四ケタを超えた頃の、かば祭り。
偶然現れた カエル コレクターの導きでデータベース化をはじめ、
2001年からは、現在の形のようにホームページ上でコレクションを紹介するように。(8.

そして、長寿日本一の〈デカ〉誕生日を祝す石川県能美市いしかわ動物園(2007年)、
来日100年記念の上野動物園(2011年)など、出張かば祭りを依頼されるほど、
カバのオーソリティーとなっていったのです。

本ではコレクションの詳しい歩みも一望できるので、お楽しみに!
(年表とか国語便覧とかってなんか好きです〜)


というわけで、表には一切出ていないコレクションはきちんと収納されていました。
それら5000点に及ぶ実にさまっざまなカバを見せてもらっているうち、
初めての訪問にもかかわらず、すっかり長居してしまっています。

そこへ、ダンナ様のご帰宅。

そのお姿を見た瞬間、挨拶も忘れて「ほ〜」と唸ってしまいました。
「主人を見るとみんな、ああ〜と納得するんですよ(笑)」

ヒポミさんのご主人様、なんとカバそっくりなのです!
太ってるのではなくガタイがよく、何よりお顔がいかにも「気は優しくて力持ち」という感じ。
 
腑に落ちるとはこのことなのでした。

TSdesignAcrylicZoo.jpg

スタイリッシュすぎるガチャガチャ 
TSdesign Acrylic Zoo 

持ち主のお気に入りとのことで、
くれはしませんでしが撮影用に貸し出し。
これを手放したくない気持ち、
A子にはわかるよ。

11. 笑顔について


ヒポミさんの笑顔が美しい、と記したのをご記憶でしょうか。

中学時代に流行った尾崎豊が「 ♪ 俺はうまく笑えているかい?」と歌うのを聴いてドキッとした、
などと告白するのは顔から火が出そうですが事実です。
 
心から笑っているのに、どうして顔がついてこないのか。

いまだに続くこの違和を感じるたび、自分に足りてない何かを思い知らされるし、
こちらのぎこちなさにひきずられることなく屈託なく笑う人には、ホッとしてしまいます。

うーん、笑顔ってなんなのでしょう。

西欧人は赤の他人と目が合ったとき、ニコッとしますね。
たまに彼らのオープンマインド度あるいはナンパと勘違いする人がいますが、
あれは戦いの歴史が生んだ「自分は敵じゃないよ」のサイン。だから目は笑ってません。

ところで、ヒポミさん初訪問時に、なぜカバなのかを問うたところ、
「よく訊かれるんですけれど……優しくなりたいのかもしれない」。
そう言うヒポミさんはどうみてもエレガントな優しさに溢れているので、「え?」と問い返すと、
「というか強くなりたいのかもしれない。強くあるためには、優しくなければいけないでしょう?」

私はなんだかじーんときました。優しいから強くなれる……。

「カバにはそれを感じませんか? 気は優しくて力持ち。
 どんなにカバのグッズを集めても、いちばん好きなのは、だから本物のカバなんです

震災直後のこの言葉。ヒポ教へ改宗の瞬間でした。

もしかして、ヒポミさんが言ったのは、強さと優しさが逆だったかも知れないと今、不安になるものの、
たぶん、どちらも同じこと。ヒポミさんは強く優しいので、もっと優しく強くなりたいと言うのです。
強さと優しさの深さが、笑顔に現れるのです。


昨2011年11月、亡き辺見(3.)のお別れ会に、ヒポミさんが来てくれました。

生前の辺見にヒポミさんを会わすことはできなかったのですが、ヒポミさんが「同じ柄を二つ持っているから辺見さんに」と、NATSUKOさん作の(がま口ならぬ)カバグチをくれたことがあります。
辺見が会社に来るのは月に数回。眺めてるうちに欲しくなって、自分の分をNATSUKOさんから取り寄せていたのですが、やってきた辺見にカバの口を開けて中の鳥を見せたところ「きゃー♡ もったいなくてお金なんか入れられないわーん」。さらに「この感激を誰かと分かち合いたい!」と、私のカバグチまで持って行ってしまったのです。以来、「新しいカバはないの?」という毎度の催促に用心深くなり、「これはあげませんけれど!」と前おきすることもありました。

お別れ会でのヒポミさんの笑顔は、優しすぎて力強くて、
こんなに早く死んじゃうなら全部あげればよかった、と私の涙を誘うのです。

私の中でカバと辺見は切っても切り離せず、湿っぽくなってしまいました。
今日は辺見の一周忌。ご容赦くださると、ありがたいです。

 
 


名刺入れOZIO.jpg

完全なヒポミさん影響下での初カバがこれ。
黒いプレーンの革と思いきや開けるとピンク地、カバが河をゆく。
以来、名刺交換が快感です。少々かまって気味ににぐいっと開くと、
かまい慣れた手だれさんは「おや?」と反応してくれるのです(ただし100%女)。
これってもしや裏地派の清原・長渕モード? 自分にもそのケがあったとは。
わが人生でこれに匹敵する買物……ちょっと思いあたりません。


10. 閑話(ヒポ違い)


この拙文、想像以上の読者を得て多数の反響を頂いております。ありがたいことです。
なかでも多い意見が、「私もカバ、好きだったかも」。

そう思わせるカバもすごいのですが、だいたいが人の気持ちほど不確かなものはありません。
私なぞ、酒は体質に合わないと信じて「飲めないんです」と言いながら、
眼の前にあるのでつい口をつけているうちにけっこう飲んでしまいます。
こうなると嘘つきのようなので、この際、(本来飲めない人間がなるという)
アル中にでもなって死にたいものだと思うものの、そこまで飲みたおすことも今のところできてません。


さて今回はまた脱線して、カバの語源について、少し触れることにしましょう。

英語の「hippopotamus」は語感の楽しさとあいまってよく知られる言葉(発音はヒポポートァマスって感じ)

ギリシャ語の成り立ちは「hippo(馬)」+「potamos(河)」で、
中国語がこれを原義的に訳して「河馬」となり、その訓読みが「かば」。
これ、カバのプロのあいだでは常識の部類です。

日本随一のカバ通・宮嶋康彦氏(6.)によれば、日本の文献への初登場は、1862年(文久2年)。
遣欧使節の普請役・益頭駿次郎がロンドン動物園でカバを見て「海馬」と記録したとか。
姿カタチからの想像だとしたら、なかなかイイ線いってますね。いななきも馬に似ているといいます。

海馬といえば、記憶を司るという脳の海馬。
海馬はもともと、ギリシャ神話でポセイドンが牽いた馬の海獣「hippocampus」のこと。
ヒポカンパスはしっぽが魚の尾ひれになっている馬=半馬半魚で、タツノオトシゴの学名でもあります。
で、脳の海馬の断面がタツノオトシゴに似ていたことから、つけられたそうです。

カバは脳みそが異様に小さくてシワもほとんどないことから、バカだという輩(やから)がいます。
カバ園長(6.)はこの説に大いに憤慨してました。
脳の海馬と我らが河馬は、語源的にもヒポ仲間なのですから、カバ=バカという記憶には、どうぞ今後ご注意を。
さらに医学の祖ヒポクラテスのヒポも同源なので、どうぞ今後ごひいきに。


一方、けっして混同してはいけないのが、もう一つのヒポの一群です。

  ヒポクラシー/ヒポクリット(偽善/偽善者)
  ヒポコンデリー(心気症・憂鬱症)
  ヒポテンシヴ(低血圧)
  ヒポタラマス(視床下部)

これらは、同じヒポでも川のhippoと違って「下」の意の hypo一族。医学用語によく使われます。

hippo と hypo  
字面だけでも違いが歴然。hippoの何と愛らしいことか。
誰が行司であろうと、完全に hippo に軍配を上げることでしょう。

実は、ヒポミさんと本のタイトルを考えているとき、
「デモクラシー」のノリで「ヒポクラシー」案が出たのです。
もちろんこちらは「hippo暮らし」のつもりでも、音では「hypocricy=偽善」になってしまう。
こりゃまずいというわけで、勉強した成果の、お裾分けでした。
シソの中のカバ.jpg



シソ中カバ小.jpg

 シソをたくさんもらいました。

「そうだ、A福町の駅で捕獲した2cmの河馬に、
 生まれ故郷を思い出させてやろうっと〜」

 もともとガーデン・チャーム、緑が似合います。
 思惑通りの絵は撮れませんでしたが、なんか、うれシソう。

 
 ところでカバの置物の背中には、よく小鳥を見かけます。
 これはアフリカでもよく見られる光景だそうですよ。

9. 初訪問(その二)


私は生まれてからこの方、一所(ひとところ)に五年と住んだことがありません。

親元にいる間は、父の転勤のたびに、母が引っ越しのすべてを処理しました。
すべてとは、子供三人の服から机の中身に至るまですべての、荷造りから荷解きまで。
こちらは身ひとつで飛行機に乗れば、数日後にはまた同じ生活が始まります。

どうやらおかしいと気づいたのは、やっと思春期の頃。
とはいえ、親任せにしていることではなく、自分の荷物の量についてです。

「小遣いはたいた『わたしは真悟』(楳図かずお)はどこ?!?!??!」

私の持ち物は、母の選択眼により、転居ごとにコンパクトになっていたのです。
 
それを知った当時は母を罵るという愚挙に及びましたが、
今となっては、あんな気持ち悪いものが本棚の奥になくてよかったとも思えるし、
あったらあったで読み返すのも悪くないとも思います。
つまり、どっちでもいいのです。
 
どうしてもなくては困るものなどない  これが、環境によって育まれた、私の物への対し方。
 
さらに言うなら、部屋の片付けも異様に几帳面な母に任せきりでした。
そのおかげで、おそらくいろいろヤバイものも見つかったものの、弟ほどではありませんし、
見つかったら決定的にヤバイ秘密なんて、よっぽどの性癖の持ち主でもなければ、ないものです。
もちろん自分でも片付けはするのですが、母の手にかかるとさらにきれいに整理されるので
(私はウチほどきれいに片付いた家を見たことがありません)、
「自分の部屋は親に絶対に触れさせない」と言う人の気持ちがさっぱりわかりませんでした。

 
かような家に育った私が今回訪ねるのは、かばグッズ収集家のドンです。
 
テレビ写真で見るコレクターの家といえば、例えば、やくみつる。収集の対象が広すぎるのも原因でしょうが、家中が物で溢れていて、集めた物を守るために屋根がついているような感じ。あるいは森永卓郎。オタクはホコリよけのためにガラスケースに入れるタイプが多いようです。
 
母と違って潔癖な方向へはまったくいかなかった私は、
大抵の人が敬遠しそうな散らかり放題の家でもくつろぐことができます。
モノへの執着がない分、主のキャラにしか注意がいかないのかもしれません。
また著者にはそういうタイプの人がけっこうな割合でいるのも事実で、
徹底的に片付けないってのも何かの能力の裏返しなのかなと思うほど。

「ヒポミさんの元には、運び屋や情報屋の協力もあって世界中のカバが一同に集められる。
 ならば、おうちはどんなことになっているのだろう……」 

さあ、いよいよカバたちとのご対面です。
扉を開けてくれたヒポミさんから察するに、上品ファンシー系のディスプレイかな〜

ワクワクでお邪魔したのですが、  ん ?????!!!!!
試しに先にお手洗いをお借りしました。  あれ、あれれ ?!?!?!?!?!

カバはどこ?

案内されたリビングはきれいに片付いていて、物の少なさも含め私の母並みです。
広いトイレにもカバの影はありません。たしかパンダだらけだった徹子(黒柳)のトイレとは大違いです。

よく見ると、リビングの大きな壁に両腕を広げたほどの大きな額があります。
オシャレすぎて、カバだと気づくのにしばしの時を要しました。目についたのはその一点。

そうなんです、ヒポミさんは、カバをまったく飾っていない、かばコレクターだったのです!


バッグチャーム.jpg



新宿ルミネで捕獲したてのバッグ・チャーム 

コレクションにないカバを見つけて、
ヒポミさんに奉納するのを目標としてます。
これはどうかな〜
私のスマートでないフォンで撮った写真だとブタのようだけれど、
体調5cm、カバのエレガントさがよく出ているように思います。

8. 初訪問(その一)


東京でも計画停電の実施が囁かれるなか、震災前に約束した日時に初めてヒポミさん宅を訪れました。

……と書きはじめたはいいものの、さっそく迷うのが、
ヒポミさんの正体をどこまで明かしてよいものなのか。
何しろ、名字のない公人ですから。(1. 2.参照)

ヒポミさんとは、その日までメールだけのやりとりでした。
電話で声も聞いていないので、性別の確信も持てないままです。
ヒポミさんのサイトからいくら類推しようと、ネット情報に真実が記してあるとは限りません。
カバとの日々をこうして私が綴るなかにも、多分にフィクションが混じっていますしね。
(それがもっぱら、記憶力の不備のせいとはいえ  


思えば、記事を目にしたあの日の検索の結果、「ヒポミのかばコレクション」に辿りついたのでした。

〈今日のカバ〉ではカバがデイリーにアップされ、カレンダーを埋めていました。
それが2001年から続いているとなれば、やはりコレクションは三桁どころじゃなさそう。
その日のカバの来歴には、「運び屋」「情報屋」なるワードが並んでいます。
どうやら、カバを愛する者のコミュニティ=カバ界では、頻繁に情報交換がなされている模様です。

〈ギャラリー〉ではカバがカテゴリー別に分けられています。「切手」「コイン」などのコレクターズ・アイテムはもちろん、「絵画」や「クリスタル」(バカラやスワロフスキー)など、何やら高そうなものもチラホラ。同じカバでも姿かたちがまるで違うので、壮観です。

hipomi.gif
 



後日談〕ちなみに、このサイトを見ているとカバが世界中に溢れているような気になりますが、あの日から今日まで、カバに気をつけているつもりの私のカバ遭遇率は、ごくわずか。世には動物アイテムがゴロゴロしているのに、「なぜカバだけいない?!」と舌打ちしたことも、10回や20回では収まりません。だのに、これだけの数のカバを集めるのですから、ヒポミさんとかばネットワーク、恐るべし。



そして初体面のこの日  
ひねくれ者で構成される出版界ではついぞお目にかかれない、美しい笑顔で迎えてくれました。
そう、ヒポミさんは、ステキな女性でありました!

性別だけで長らく引っ張ってしまいましたが、それほどコレクターへの先入観が強かった次第です。

ところが問題は、性別ではありませんでした。

お宅におじゃまして、目が点になるのです。

 「あまりのカバの多さに驚いたのだろう」

そう思ったあなた、想像力が不足しています。
ヒポミさん宅では、きっと私と同じ目に遭う(?)ことでしょう。

何に驚いたのか。つづきは次回!


形状記憶の輪ゴム.jpg


形状記憶の輪ゴム「アニマルラバーバンド」

このギフトボックスには6種類の動物が入ってます。
でも今の私、カバ以外は眼中にありません。
「好きなの取っていいよ〜」と箱ごと編集部内に回すと、
なんと、いちばんの若者がカバを選ぶではありませんか。
「あンたもエラくなったもんね……(怒)カバには100年早い!」
キリンと交換させたのは言うまでもありません。


7.情報の限界

かくして数冊の本を通読しました。

カバのことなら何でもきいて〜というくらい〈にわかカバ博士〉を自称した私ですが、
「じゃあカバはどこで寝るの?」と訊かれて答えに窮する始末。

頭に浮かぶのは、野生のカバは夜行性であることと、動物園のカバが陸で「昼寝」している写真。
キャプションに昼寝とあるのは短時間のシエスタのことじゃなくて、夜に備えて本格的に寝ているのか?!

……付け焼き刃では何事も半端です。
しかも1年半前にインプットした情報は今、すべてがうろ覚え。
記憶が確実に持続するのは25歳までに覚えたこと。寄る年波との格闘の毎日です。

最新科学といえば、カバの「血の汗」ってご存知ですか?
物騒な名前ですが、私はカバがピンクの汗をかくことさえ知りませんでした。
その汗の役割と成分も、2004年に判明したばかり。
(詳しくは、上野動物園の方が本の中で紹介してくれます〜)

とにもかくにも、にわか勉強によって〈長年の観察と一瞬のひらめき+科学の粋〉で書き換えられていく
ウンチクにも限りがあることを知ると、「カバの本」を夢想した当初のチリモン的アプローチは、
早々に断念することになりました。


いよいよヒポミさんの登場です。
ストッケstokkeのテーブルトップTRIPP TRAPPシリーズ.jpg







甥・姪のランチョンマットにカバ発見。
ドイツのstokke(ストッケ)製で、テーブルトップというらしい。
汁物をこぼしても周囲の土手(?)がせき止めるからか、
水辺の動物たちが描かれている。あまり可愛くないけれどカバだから許します。
(成長に合わせて高さが変えられる椅子ともに、TRIPP TRAPPシリーズ)

6.カバ本


なかなかヒポミさんに辿りつきませんが、編集者にはまだやることがあります。
カバの情報収集です。
口では「何も知らないので教えて下さいね」といいながら、
まっさらな状態で会いにいけるほど私、図太くないのです。

では、数少ないカバ本をざっと眺めてみましょう。

「河馬的文明論」.jpg
古い順に、まず西山登志雄河馬的文明論』(1972年、ブロンズ社)

西山登志雄! 日本カバ界でプラチナ級のVery Important Person。
戦後すぐに中学校ボイコットし親に内証で上野動物園で働き出した氏は、
30余年にわたりカバやライオンの飼育係を務めます。
ああ見えて神経質なカバの信頼を得た稀有なお方。VIPのゆえんです。
東武動物公園の初代園長となり「カバ園長」と呼ばれました(06年に他界
した折に「かば園長葬儀式場」と看板を出したのもたぶん遺言)。
厳密には、カバにだけフィーチャーしたわけではないものの、
氏の鷹揚な変人っぷりが筆にも乗った名著です。
登場するカバはデカオにザブコ、オヤジという名のラクダもいます。
このいさぎよいネーミングセンス、昨今の親にも見習ってほしいところ。
神保町の虔十書林で500円


「河馬の方舟」.jpg「日本カバ物語」.jpg
◁ 宮嶋康彦河馬の方舟』(1987年、朝日新聞社)
右は改訂版の『日本カバ物語』。増補文庫版『だからカバの話』もある

フォトジャーナリストの宮嶋氏による「朝日ジャーナル」連載をまとめたもの。日本の動物園のカバがほぼ「重吉&福子」(名古屋東山動物園)の子孫という事実をつきつけ、安易な近親交配を繰り返す動物園の在り方を変えました。本当はもっと変えたい社会派なので、表も裏も知りたい人向き(他『カバ KIBOKO』がある)。それにしても、本場のカバも沢山見た上で日本カバ史を通暁。凄い人です。




カバに会う―日本全国河馬めぐり

カバに会う―日本全国河馬めぐり坪内稔典著(2008年、岩波書店)


  • 社会派の宮嶋氏に対し文系のカバ派といえばカバを求めて日本中の動物園を踏破した、俳人の坪内ネンテンさん。旅しながら文学中のカバに迫ります。ご自分の忌日は芥川の河童忌ならぬ「河馬忌」とするよう、遺言してるに違いありません。
  • 「桜散るあなたも河馬になりなさい」の名句は、「カバのように見る。カバのようにふるまう。カバのように発想する」ことで自分の殻を破りたい、そう願ってみずからに言い聞かせたものだといいます。なんか泣ける……。いちばん私のカバ時間に沿う本かもしれません。ゆっくり売れ続けているというのも納得です。





ここに挙げた本、『カバに会う』以外は残念ながら流通していません。
どれに何が書いてあったのか今となっては記憶が曖昧ですが、味わいは三者三様。どれもおすすめです。





5.カバの時間

眺める者、想像する者の時をユルめるカバ。
実は走ると時速50キロとも60キロとも言われています。

これは、カバの生態を探っているうちに知ったことの一つです。
  などと言うと偉そうですが、知り得たことは、わずかでした。
カバの専門書が実に少ないのです。
それはカバに限らず、およそ野生動物の生態で分かっていることことはたかが知れているから。

なぜ飛行機のような重い物体が空を飛び交ってるのか。
なぜネットは地球の裏までつながってるのか。
詳しい原理を知る気にもならないものに囲まれていると、つい科学を過信してしまいがちです。

でもガリレオの「それでも地球は回っている」(1633年の異端審問)以来の反発があったともいわれる
ダーウィンの「人間の先祖は猿」説、これぞコペルニクス的転回ってわけですが、
その『種の起原』が1859年の刊行ですから、たかだか150年前なのですね。
たとえばアフリカにしか棲息しない動物が相手で、あまりお金に結びつかなさそうとなれば、
そういう分野は地道な観察と想像のくり返ししかなく、150年は十分な時間ではない気がします。

松浦寿輝さんの東大最終講義「時間と近代」によると、
ダーウィンは進化論に想定される反論に対して、あらかじめ再反論を同著のなかで展開しているといいます。
進化(淘汰)の過程の化石=証拠がないではないか、という想定反論に対して用意した答えは、こうです。
人間の想像しうる(一万年程度の)時間をはるかに凌駕する「物理学的時間」からすれば、
地層から見つかるものなどわずかなのだ(証拠がないことは反証にならない)、と。
こうして近代は『種の起原』以降、〈個人の等身大の時間〉に加え〈科学的時間〉を獲得します。
この時間尺度のパラダイムチェンジは、生物学という狭い領域の話にとどまらずに波及してゆきました。

さて、最新の科学は〈科学的時間〉をずんずん遡り、従前の生物学的分類法をご破算にしました。
遺伝子解析によって、カバがクジラと先祖をともにしていたことまで明らかになっています。
以前はブタやイノシシに近いと考えられていました。
見た目からすると脚と蹄(ひづめ)にとらわれて違和感がありますが、動物園で年じゅう水中にいる
のを見慣れていれば、「同じ水生の哺乳類だしね」と、納得も早いのかもしれません。

一方、人の〈等身大の時間〉も簡単に超えられません。
以下の一文を読んで下さい。

   ビッグバンは137億年前に起こった。

今から三日後、あなたは下線の数字をばっちり覚えている自信はありますか? 
数字を目にした瞬間に、脳内で「ずーっと前」と書き換えていませんか?
そうだとしても誰もあなたを責めません。想像が及ばないほどの時間だから仕方ないのです。

で、カバと時間について。
こうなると、時代による、人間の側の違いを考えてみたくなります。
見る者がカバに「泰然」を感じるとき、その感じ方は近代以前と以後で、どう違うのでしょうか。

  けっこう違うのかも、と思うのです。

カバを思う人間に流れる時を、ここでは〈カバ時間〉と呼ばせてもらうと、
〈カバ時間〉がたたえる幽玄っぷりは、150年前より今のほうが増している気がします。
それは時代のせわしさのせいばかりではないはずです。

昔むかし以上の太古の昔、カバとクジラと同根だと知った上で、にもかかわらず、なのです。
「そんな情報ノーサンキュー」とカバの絶対にひたるとき、
近代が殺した神が再降臨するとでもいえばいいでしょうか。

無宗教で、それほどスピリチュアルなタチでもない私が、
古代人がカバに叡智を見たのと近い、神聖かつほんわかした気持ちになるのです。

現代の〈カバ時間〉は、かように最上級クラスの豊かな時間。
このリュクス(贅沢)は、わりと多くの人に実感してもらえるはず。この点ではわたし、かなり楽観的です。



フランスのカード.jpg


"Le cœur a ses raisons que la raison ne connaît point."

には、理性すらも知らない道理がある。
パスカル『パンセ』

フランス土産のカードで女の子が抱きつくコビトカバ。
添えられたパスカルの言葉から察するに、
「だって好きなんだんもん」ってことでしょうか。
カバ好きの中には、このコビトカバを愛の対象から除外する人も。
これも心の道理?! 

4.カバのちから

幻戯(げんき)書房では2009年に『チリモン博物誌』という本を出しています。
チリモン.jpgこれはチリメンジャコの中に混じっているジャコ以外の生物(モンスター
チリモンを集めたプチ図鑑。
きしわだ自然友の会編纂だけあって、大阪人ならではの解説が面白いと評判です。

東京では「シラス干し」が優勢で、山椒と煮詰めて乾燥したようなふりかけ状のものを特に「じゃこ」と言う気がしますが、シラスに混じってカニとかエビのちっちゃいの、いわばシラモンがいたりすると、(さかなクンでなくとも)ギョギョッと言ってしまった経験は多くの人にあるのではないでしょうか。実は近年、選別の技術が上がって「モン」の混入率は低いのですが、今では「モン」のほうをてんこ盛りにした袋がわざわざ用意されるほど、チリモン採集は小学生の自由研究として大人気です。
当時、文芸出版社にとってこの企画は冒険でした。
しかし創業者の辺見じゅんは、こういうものをとても面白がる人だったのです。
かばの本を提案した時も、大はしゃぎでした。


さて、カバというのは不思議で、例えば「好きな動物は?」「動物園にいる動物と言えば?」
と訊かれても上位には登場しません。よくて7〜10番目くらいでしょうか。
パンダやゾウやキリンのように際立ったところがないぶん、存在感も薄いのですね。

ただ、大人気なものというのは、アンチを生む宿命にあります。
パンダに浮かれる世を白眼視するあまり石原都知事のパンダ発言にだけ反応しちゃうとか、ディズニーやジブリやアンパンマンの在り方の中に資本主義の悪臭を(自分もその中で生きてるのにもかかわらず)かいでしまったり、スカイツリーに対しては言うのも憚られる感情を抱いてしまったり。
カバは、そんなひねくれ者たちの反感を買うこともありません。

だからなのでしょうか、不思議と言ったのは、
「かば」という言葉を発した途端、相手を思わず笑顔にさせる何かが、カバにはあるのです。

ためしに目をつぶって心の中で「ゾウ、ゾウ、ゾウ…」と、象を思い浮かべてください。
次に「カバ、カバ……」と言いながら、カバを思い浮かべてください。
ほら、ゾウの時には動かない脳のどこかが反応して、なんだか口角がゆるみませんか?

さらに分かりやすい実験です。
時計の針が1秒を刻む音をBGMに、ゾウを思い浮かべてください。
長い鼻や大きな耳のゆっくりひるがえるさまに合わせて、秒針が間延びするでしょう。
ゆったりした気分になり、2秒で1秒とカウントしたくなります。

次に秒針とカバです。
……なんと! ゾウどころの話ではありません。
秒数を数えるのが無駄に思えて、時計の音も溶けてなくなってしまうのに気づくはずです。

パリ土産のピルケース.jpg
あなたがどんなに猫好きで、猫を思い描いて多幸感に包まれたとしても、
時間に関していうなら、カバほどには時間をなくすことはできません。

みんながカバと聞いて顔をほころばせる秘密の一つがここにありました。
この神経の弛緩作用を最ももたらすのが、カバなのです。(A子調べ)


パリ土産のピルケース Villeroy & Boch 
(このこども向けの意匠、抜けた乳歯を入れるものかも)









3.震災直後の上野動物園

ヒポミさん宅を初めて訪れたのは、震災の一週間後でした。

お目にかかる前に上野動物園を覗いてみようと出掛けたのは、翌日から臨時休業に入るという3月16日。
春休み中だろうに、子供の姿はもちろん、人とすれ違うことすらほとんどありません。

冬の動物園というのは、それでなくともうら寂しいものです。
不忍池(しのばずのいけ)が記憶を呼び起こしました。
前回ここに来たのはすでに20年近く前の、やはり冬。
言葉もないまま肩を並べて猿山を眺めた彼とは、間もなく別れたのではなかったでしょうか……。

ともあれ、人影のない園内をひとり歩いていると、非常時であることを感じないわけにはいきませんでした。

あのときの東京は地震のショックで、ある種の連帯感が街を覆っていました。
「いつでも助け合う準備があるよ」と人々の顔に書いてあるようでした。
そんな(初めて体験するという意味で)異様な空気のなか、動物たちだけが落ちついていました。
「人」がいないと世界はいつもと変わらない……などと感じるのも、非常時ゆえだと思いあたります。

さて、目当ての河馬博覧会には〈地震の影響により展示は中止〉と貼紙があります。
少し離れたカバ舎に向かうと、カバたちは屋内にいました。

  わが前に巨(おほ)き河馬の尻むくつけく泰然として動かざりけり
                 日本で初めて河馬を詠んだとされる中島敦の歌

記憶よりはるかに巨体! まさに「泰然」です。眺めているだけで気持ちが凪ぐようでした。
展示が見られなかったのは残念ですが、カバの巨きさを感じられただけでよしとしましょう。

そう、たしかに動物たちは泰然として見えました。
しかし実は、このひと月後、カバのサツキが急逝します。地震に驚いて脚を傷めたことが原因でした。

  動物園に被災せし河馬欲しかりき『ヨブ記』に叡智を讃へし河馬を
  箱船はいづこにあるや神の子の河馬は死にたり四月十六日
                      (2011年「短歌」6月号 "震災復興祈念特集"内)

幻戯書房の創業者・辺見じゅんが、サツキを偲んでつくった二首。
他三首を含めた五首の詠題を「叡智」とした秘密は、いつか明かせればと思います。

辺見はこの半年後、9月21日に亡くなりました。
上野動物園に一緒に行く約束を果たせなかった悔いが今も時々よみがえって困ります×××

小平霊園.jpg













亡くなって半年後の2012年3月24日、
辺見のお墓参りに小平霊園へ。
駅からの道すがら、石材店に、いました。
A子「これ、カバですよね!」
店番の人「たぶん……」

2.ヒポミさんとは

「カバグッズ収集家ヒポミさん」とは何者か。

名前からは、8:2で女の印象を受けるものの、
郷ひろみの例を持ち出すまでもなく中性的な名前ってのもあるわけです。

そして私の知る限り、モノを本気でコレクトするのは男。
駅名やキャラ名などを覚えたり、「数」に熱くなるのは子供の頃から男。
おそらくY染色体は「数量」が好物なのだと思われます。
かの「さかなクン」にしても、ああ見えて男性ではなかったでしょうか。

女のコレクションはたかが知れていて、3桁に手が届けば立派というもの。
下着100枚とか、キティちゃんグッズ300個とか。
ただし、楠田絵里子の消しゴム コレクションなど、例外も、あることはあるのですが。
(黒柳徹子のパンダが気になる向きには、徹子はパンダへの「愛の量」が膨大、とだけ言っておきましょう)
 
かくいう私(女)も仕事柄、本が増える一方ですが、
(そして同業者は圧倒的に本集めに走る人が多いですけれども)
手元におくのは50冊で十分という吉田健一に憧れます。
さすがにそこまで思い切ることはできないながら、
本棚以上に本が溢れるのは本当は避けたい。

……と、まず性別に関して、編集部内でも憶測がとんだわけですが、
いずれにせよ、名字をもたない公の人といえば皇室か、さかなクンですよ。
このカテゴリに属する「ヒポミさん」という謎を解明すべく、
切り抜きを見せ合うミーティングが終わった途端にググったのは言うまでもありません。



かばくん (こどものとも絵本)

 

  •  

    かばくん 



    • 1962年から版を重ねる大人気絵本
      岸田衿子さく・中谷千夜子え(福音館書店)


1.すべてのはじまり

2011年2月のこと、《カバ来日100年》の記事が新聞に載りました。 
かば新聞.gif
上野動物園では記念して〈河馬博覧会  かば祭り〉を開くとのこと。
「へえ〜それは祝ったらよかろうね」
これまでカバと無縁に過ごしてきた私は、クールなものでした。
ところがそのあと、スルーできない一文を目にすることになります。

《カバグッズ収集家ヒポミさんのコレクション約百点を展示する》

ヒ、ヒポミ?!(しかも「さん」付け!!)
ロンドンの地下鉄では電車のドアが開くとき「mind the gap」と言います。
ホームと電車の段差・隙間に気をつけて、の意味です。 
でも屋内で新聞に目を通すときというのは、何にも気をつけていないものです。
そんな無防備な新聞モードにあって、公の機関である
「上野動物園」と「ヒポミさん」のなんたるギャップ
軽いめまいを覚えました。同じ5文字でここまで隔たりが生まれるものか、と。

もちろんカバグッズの収集家としてこの上ないネーミングではあります。
しかも新聞からも動物園からも公認を得ている。
これはいうなれば、かの「さかなクン」と同格です。
東京新聞 2011/2/15(火)↑ 
そう、本気な者にしか許されない、ふざけた名乗り。 

男か女か、それもわからないまま、この人の在り方は、私の気に入りました。
「そういえば私、前からカバが好きだったかも」
と、自らの記憶を捏造してしまうほどに。

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